キャリアアップ研修の修了要件【2026年度(令和8年度)から本適用】|副主任・専門リーダー・職務分野別リーダーに必要な要件と園の受講管理

更新日2026年10月9日
投稿日2022年7月13日
キャリアアップ研修の「研修修了要件」とは、処遇改善等加算の区分3(旧加算Ⅱ)で、副主任保育士や職務分野別リーダーなどに求められる研修の修了条件のことです。この要件は必要とされる内容が当初から定められていましたが、これまでは緩和措置によって少ない分野数でも認める扱いが続いていました。2026年度(令和8年度)からは緩和措置がなくなり、本来の要件がそのまま適用されています。
「うちの副主任は、あと何分野受ければよいのか」「来年4月に任命したい職員が、まだ研修を終えていない」。一本化後の制度が2年目に入り、こうした声を伺うようになりました。昨年度までは「これから受ける予定」の職員も加算額の計算に入れられましたが、今年度はその扱いがなくなっています。
このコラムでは、園長・管理者の方に向けて、誰に・どの分野を・いつまでに修了させればよいのかを、こども家庭庁の通知とFAQに沿って整理します。
処遇改善等加算は、次の3つの区分に分かれています。
| 区分 | 名称 | 何のための費用か | 旧制度での名称 |
|---|---|---|---|
| 区分1 | 基礎分 | 職員の平均経験年数の上昇に応じた昇給 | 加算Ⅰ(基礎分) |
| 区分2 | 賃金改善分 | 職員の賃金の改善 | 加算Ⅰ(賃金改善要件分)・加算Ⅲ |
| 区分3 | 質の向上分 | 職員の技能・経験の向上に応じた追加的な賃金改善 | 加算Ⅱ |
出典:こども家庭庁・文部科学省「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(令和8年4月8日最終改正)をもとに作成
研修修了要件が関わるのは、このうち区分3です。
2026年度(令和8年度)、キャリアアップ研修の修了要件はこう変わった

分野数の緩和措置が終わった
研修修了要件は、求められる分野数そのものは制度の開始当初から定められています。ただ、適用は先送りされ、その後も本来より少ない分野数で足りるとする緩和措置が続いてきました。令和7年度は、副主任保育士と専門リーダーについて「3以上の研修分野」を修了していればよいとする扱いでした。
令和8年度からは、この緩和措置が終わり、通知に定められた本来の分野数が求められます。
Ⅰ1(3)ア若しくはイ、Ⅰ2(3)ア又はⅠ3(3)アに定める研修修了要件については、令和8年度から適用することとし、令和7年度は、Ⅰ1(3)ア又はイのうち3以上の研修分野、Ⅰ2(3)ア又はⅠ3(3)アのうち45時間以上の研修を修了すること。
出典:こども家庭庁・文部科学省「施設型給付費等に係る処遇改善等加算(区分3)に係る研修修了要件について」(令和7年9月16日)
「修了見込み」を加算額の計算に入れられなくなった
令和7年度は、前年度に旧加算Ⅱの認定を受けていた施設に限り、年度内に研修を修了する見込みの職員も加算額の計算に含められる経過措置がありました。令和8年度はこの措置がなくなり、こども家庭庁のFAQ(第7版・令和8年5月15日時点版)にも、4月1日時点で修了していない職員は人数に含められないと明記されています。
令和8年度は、4月1日の時点で実際に研修を修了している人数が、区分3の加算額を決めます。
キャリアアップ研修の対象者と必要な分野数|副主任・専門リーダー・職務分野別リーダー
保育所と地域型保育事業所の場合、研修は専門分野別研修の6分野と、マネジメント研修に分かれています。職位ごとに、修了が必要な分野の数が決まっています。
| 分野 | 内容 |
|---|---|
| 乳児保育(主に0歳から3歳未満児向けの保育内容) | 乳児保育の意義/乳児保育の環境/乳児への適切な関わり/乳児の発達に応じた保育内容/乳児保育の指導計画、記録及び評価 |
| 幼児教育(主に3歳以上児向けの保育内容) | 幼児教育の意義/幼児教育の環境/幼児の発達に応じた保育内容/幼児教育の指導計画、記録及び評価/小学校との接続 |
| 障害児保育 | 障害の理解/障害児保育の環境/障害児の発達の援助/家庭及び関係機関との連携/障害児保育の指導計画、記録及び評価 |
| 食育・アレルギー対応 | 栄養に関する基礎知識/食育計画の作成と活用/アレルギー疾患の理解/保育所における食事の提供ガイドライン/保育所におけるアレルギー対応ガイドライン |
| 保健衛生・安全対策 | 保健計画の作成と活用/事故防止及び健康安全管理/保育所における感染症対策ガイドライン/保育の場において血液を介して感染する病気を防止するためのガイドライン/教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン |
| 保護者支援・子育て支援 | 保護者支援・子育て支援の意義/保護者に対する相談援助/地域における子育て支援/虐待予防/関係機関との連携、地域資源の活用 |
| マネジメント | マネジメントの理解/リーダーシップ/組織目標の設定/人材育成/働きやすい環境づくり |
出典:厚生労働省「保育士等キャリアアップ研修の実施について」(平成29年4月1日・令和元年6月24日一部改正)
保育士等キャリアアップ研修には「保育実践研修」もありますが、区分3の研修修了要件に数えられるのはこの7分野です。
区分3は、対象の職位によって区分3-①と区分3-②に分かれます。職位ごとに必要な研修は次のとおりです。
| 区分 | 対象の職位 | 1人あたりの賃金改善額 | 修了が必要な研修 | 経験年数の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 区分3-① | 副主任保育士 | 月額4万円を超えない範囲 | 専門分野別研修のうち3分野以上+マネジメント研修 | おおむね7年以上 |
| 区分3-① | 専門リーダー | 月額4万円を超えない範囲 | 専門分野別研修のうち4分野以上 | おおむね7年以上 |
| 区分3-② | 職務分野別リーダー | 原則として月額5千円 | 担当する職務分野に対応する分野を含む1分野以上 | おおむね3年以上 |
研修時間は、どの分野も1分野につき15時間以上です。
経験年数の目安は、副主任保育士と専門リーダーがおおむね7年以上、職務分野別リーダーがおおむね3年以上です。「おおむね」は、施設の職員構成や状況を踏まえて柔軟に判断してよいとされています。7年に満たない職員を副主任保育士に任命できないわけではありません。
役職の名称も、通知に書かれているものは例示です。FAQでは、各施設の業務実態を踏まえて別の名称を使ってよいとされています。

研修時間を短縮・合算できる場合
園が企画・実施する園内研修は、都道府県が内容と時間を確認した場合に、対応する分野の研修時間を1分野につき最大4時間短縮できます。FAQでは、この申請と確認は研修を実施する前に行う必要があるとされています。実施したあとで申請しても短縮の対象にならないため、計画段階で都道府県に相談してください。
また、旧免許状更新講習や免許法認定講習のうち、都道府県が適当と認めるものを組み合わせて1分野15時間以上になれば、その分野を修了したとみなせる扱いもあります。
幼稚園・認定こども園の場合
幼稚園と認定こども園は、分野数ではなく研修時間の合計で要件が決まります。
| 職位 | 修了が必要な研修時間 | 園内研修を含められる範囲 |
|---|---|---|
| 中核リーダー | 合計60時間以上(うちマネジメント分野15時間以上) | 15時間以内 |
| 専門リーダー | 合計60時間以上 | 15時間以内 |
| 若手リーダー | 合計15時間以上 | 4時間以内 |
令和7年度は中核リーダー・専門リーダーとも45時間以上で足りましたが、令和8年度から60時間以上になっています。保育士等キャリアアップ研修を受講した時間も、この時間数に算入できます(保育実践研修を除きます。幼稚園では、乳児保育など保育所等に特化した内容の研修も除かれます)。
こども家庭庁が2026年8月に公表した経営情報の見える化の速報値では、旧加算Ⅱ(一本化後の区分3におおむね相当)を取得している割合は、保育所90.9%、認定こども園92.8%に対し、施設型給付を受ける幼稚園は67.3%でした(令和6年度の事業年度が対象。経営情報を報告した私立の施設・事業所についての集計)。報告のあった私立の施設型給付を受ける幼稚園のうち約3割は、旧加算Ⅱを取得していなかったことになります。
これから区分3の取得を考える園は、職員ごとの研修受講歴を一覧にするところから始めてください。通知も、幼稚園と認定こども園に対して、各職員が受講した多様な研修の修了状況を把握し、発令の種類に応じた受講歴の一覧化を行うよう求めています。教育委員会や幼児教育センターの研修、旧免許状更新講習、園内研修など、すでに受けた研修が時間数に算入できる場合があります。


いつまでに修了させるか|4月1日時点の人数で加算額が決まる
区分3の加算額は、「基礎職員数」をもとにした人数で計算します。副主任保育士などの区分3-①は基礎職員数の3分の1(人数A)、職務分野別リーダーなどの区分3-②は5分の1(人数B)です。
ただし、研修修了者の数がこの人数に届かない場合は、研修修了者の人数で計算します。
こども家庭庁の計算表にある記入例で見てみます。基礎職員数が23人の保育所では、人数Aは23の3分の1で8人、人数Bは5分の1で5人です(1人未満は四捨五入)。この園で、4月1日時点の研修修了者が副主任保育士等で5人、職務分野別リーダー等で5人だったとします。人数Aは上限の8人に届いていないので、区分3-①の加算額は5人分です。人数Bは上限と同じ5人なので、区分3-②の加算額は5人分になります。

出典:こども家庭庁「処遇改善等加算区分3 加算算定対象人数計算表(保育所)」をもとに作成
- 4月1日時点で研修を修了している人数で判断する(修了見込みの職員は含めない)
- 年度の途中で修了者が増えても減っても、その年度の加算額には反映しない
- 4月1日時点で育児休業等を取得している修了者は、人数に含めて差し支えない
- 4月1日時点で修了者が1人もいない施設が、年度途中に1人以上確保した場合は、その翌月から加算を適用できる
来年度(2027年度)の加算額に含めるなら、対象の職員が2027年3月末までに必要な分野を修了している必要があります。研修の募集時期は自治体や実施機関によって異なるので、今のうちに来年4月の体制と受講状況を照らし合わせておくと安心です。
人数Aには、副主任保育士・専門リーダーのほか、同じ研修を修了している園長や主任保育士なども数えられます。副主任保育士向けと職務分野別リーダー向けの両方の研修を修了している職員は、人数Aと人数Bのどちらか一方にだけ数えます。

研修を修了していない職員がいるとどうなるか
「研修を受けていない職員には手当を出せないのか」というご質問をよくいただきます。ここは、加算額の計算と、職員への配分を分けて考える必要があります。
加算額の計算では、先ほどのとおり、4月1日時点で修了していない職員は人数に数えられません。修了者が少なければ、園に入る区分3の加算額がそのぶん少なくなります。
職員への配分では、扱いが少し違います。通知は、区分3による賃金改善の対象に「研修修了見込みの者」を含めています。修了見込みの者とは、年度内に研修を修了する予定で、研修計画にその職員が受講することが明示されて本人にも周知されており、副主任保育士などに準ずる職位の発令や職務命令を受けている職員のことです。
つまり、年度内に修了する計画がはっきりしている職員には、区分3の手当を配分できます。年度の途中で採用した職員や、新たに発令を受けた職員も配分の対象にできます。

出典:こども家庭庁「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について(説明資料)」を元に当社で作図)
修了見込みで配分したのに、結果として年度内に修了できなかった場合について、FAQは次のように答えています。
賃金の改善を行った研修修了見込みの者が年度内に研修を修了できなかった場合、加算額の返還を求めることまでは要しませんが、翌年度に、速やかに研修を修了してください。なお、翌年度において合理的な理由なく速やかに研修を終了せずに配分対象とすることは、処遇改善等加算の第7の虚偽等の場合の返還措置に該当することもあり得ます。
出典:こども家庭庁「処遇改善等加算に関するFAQ(よくある質問)第7版(令和8年5月15日時点版)」No.15
なお、副主任保育士の賃金が主任保育士を上回ってしまうなど、賃金のバランスをとるために主任保育士等へ区分3-①を配分する場合は、その主任保育士等に研修の修了は必ずしも求められていません。
園の受講計画の立て方
研修修了要件は、職員一人ひとりに紐付く要件です。修了した職員が退職すれば、園の修了者数はその人数分減ります。年度末に慌てないために、私たちは次の順番で整理することをおすすめしています。
来年4月の体制から逆算する
来年度、誰を副主任保育士・専門リーダー・職務分野別リーダーに任命するかを先に決めます。そのうえで、各人が修了している分野と不足している分野を一覧にします。修了証の写しは園でまとめて保管しておくと、加算の申請時に確認がすぐ済みます。
リーダーは「層」で育てる
いま任命している職員だけでなく、2〜3年後に任命したい職員にも早めに受講してもらいます。修了者が人数Aや人数Bちょうどしかいない園は、1人の退職や異動で加算額が減ります。次の候補が1分野ずつでも進めていれば、任命の選択肢が広がります。
受講の方法を広げる
修了証は、研修を受けた都道府県以外でも効力があります。自県の研修が定員で埋まっているときは、他県の研修やeラーニングの研修も選択肢になります。申込みの前に、所在地の自治体で取り扱いを確認しておくと確実です。
キャリアパスに組み込む
「何年目でどの分野を受け、どの役職を目指すか」をキャリアパスに書き込んでおくと、研修が加算のための作業でなく、職員自身の成長の道筋として伝わります。受講した職員が園内で内容を共有する場をつくれば、対象者以外の学びにもなります。

受講を進めるときによくある相談
受講時間を捻出するのが難しい
1分野15時間は、人手に余裕のない園には重い時間です。2〜3日にまとまった研修、日程を空けて開く研修、オンラインの研修と、形はいくつもあります。対象者個人の都合ではなく園全体の取り組みとして、シフトを組む段階で職員に共有しておくと進めやすくなります。
キャリアアップ研修以外の研修に行かせられない
加算に関わる研修が優先になるのはやむを得ません。ただ、全員が一度に受ける必要はありませんし、キャリアアップ研修以外にも必要な学びは数多くあります。来年受講する必要がある人と、2〜3年後でよい人を分けて数年分の計画にすれば、ほかの研修に出る余地が残ります。
採用面接で、処遇改善の取り組みを聞かれた
応募者にとって、研修と処遇の仕組みは職場を選ぶ材料です。園の人材育成の方針を伝える機会と捉え、単なる給料の話ではなく、キャリアパスと合わせて説明してください。
役職名はどう付ければよいか
名称に決まりはありません。大事なのは、そのリーダーに何を担ってほしいのかを決めて本人に伝えることです。申請のために名前だけ付けた「名ばかりリーダー」になるほうが問題です。
キャリアアップ研修の修了要件でよくある質問
Q. 副主任保育士には、何分野の研修を修了させる必要がありますか。
専門分野別研修のうち3分野以上と、マネジメント研修です。専門リーダーは専門分野別研修を4分野以上、職務分野別リーダーは担当分野を含む1分野以上です。
Q. 何年目の職員から対象にできますか。
副主任保育士・専門リーダーはおおむね7年以上、職務分野別リーダーはおおむね3年以上が目安です。「おおむね」の判断は、職員の構成や状況を踏まえて施設で柔軟に決められます。
Q. 修了した研修に有効期限はありますか。
研修修了要件の通知に、有効期限の定めはありません。修了証は、研修を受けた都道府県以外でも効力があるとされています。ただし、平成30年度以前に受講した研修は、内容が同等で受講を確認できると自治体が認めた場合に限って数えられます。FAQは、どこまで遡って認めるかについて、自治体が一定の年数を定めることも差し支えないとしています。自治体に確認してください。
Q. 他の園で研修を修了した職員を採用した場合、その修了は使えますか。
使えます。修了は職員個人に紐付くものなので、前の園で修了した分野はそのまま数えられます。年度途中に採用した職員も、発令を行えば区分3の配分の対象にできます。加算額の計算に入るのは、翌年度の4月1日時点からです。
Q. 幼稚園や認定こども園から移ってきた職員は、研修を受け直す必要がありますか。
幼稚園・認定こども園の要件(中核リーダー・専門リーダーは60時間以上、若手リーダーは15時間以上)を満たす研修を受講していると自治体が確認できれば、保育所の要件を満たすものとして扱われます。ただし、できるだけ早く保育所の研修を受講するよう促すこととされています。
Q. 主任保育士にも研修の修了が必要ですか。
賃金のバランスをとるために主任保育士等へ区分3-①を配分する場合、研修の修了は必ずしも求められていません。一方、主任保育士が副主任保育士の要件となる研修を修了していれば、加算額を計算する人数Aに数えられます。
Q. 研修を修了した職員が年度の途中で退職したら、加算額は減りますか。
その年度の加算額は変わりません。4月1日時点の人数で1年間計算するためです。翌年度は、4月1日時点の修了者数で改めて計算します。
まとめ|来年度に向けて、園で確認したい3つのこと
2026年度(令和8年度)から、研修修了要件は本来の分野数で適用され、修了見込みの職員を加算額の計算に入れる扱いもなくなりました。確認したいのは次の3点です。
- 副主任保育士は3分野+マネジメント、専門リーダーは4分野、職務分野別リーダーは担当分野を含む1分野を修了しているか
- 来年4月1日時点の修了者数が、人数A・人数Bに届く見通しか
- 次に任命したい職員の受講が、いまから進んでいるか
申請の様式や研修の確認方法は自治体によって異なります。最終的には、施設所在地の自治体の要領を確認してください。
執筆:杉村基樹(株式会社ネクサス代表取締役)



