中堅・ベテラン保育士のマンネリ化を防ぐ|保育園側でできる3つの防止法

投稿日:2023年2月8日

保育士が入職し仕事を覚えて数年、毎日が同じ仕事を繰り返す状況になっていると「マンネリ化しているかも…?」と感じることはありませんか。マンネリ化していると言っても、経験を積んである程度の仕事を一通りできているとも考えられますので、一概に悪い状況ではありません。しかし、まだまだスキルアップしてほしい、新しいことに挑戦してほしいと考える園さんも多いのではないでしょうか。
今回は、マンネリ化の原因と保育園側でできる防止・解決策についてお話します。
目次

保育士のマンネリ化の原因と問題

そもそも「マンネリ」とは?

「マンネリ」そもそもどんな意味かというと、辞書では「画一的な形式に則ることで目新しさや独自性を失う、または本来の意義が薄れることなどを意味する表現」と記載されています。もともとは「マンネリズム」という言葉を略して「マンネリ」というようになったそうです。
仕事でいえば、毎日同じことを同じ方法で行うことで、なんのためにその仕事をしているのか忘れて繰り返している状況といえます。仕事の意義がはっきりしていないと、課題をみつけたり改善を考えたりすることは少なくなり、同じ方法で続けようとしてしまうと想定されます。

マンネリ化が起きる原因

なぜマンネリ化が起きてしまうのか。いくつか原因を取り上げてみます。

● 仕事内容のルーチン化
保育士の仕事は保育園の一日のスケジュールに則って行われます。季節ごとに行事があることもありますが、基本的には同じ仕事の繰り返しです。毎日の仕事をこなすだけになっているとすると、それはルーチン化しているとも言えます。

● 主任以下の保育士のポジションがない
従来、保育園では主任以下は全員一般職員というような鍋ぶた組織の構造が多く見られました。主任になれるのは一人しかいないため、自分の園での役割や先が見えづらい状況でした。目標となる役割が少ないともいえます。現在では、キャリアパスやキャリアアップ研修が始まり、職務分野別リーダーや専門リーダーなど役割を任命することが増えていますが、うまく活用できていない園さんも多いのが現状です。

● 変化を好まない
ある程度仕事ができるようになると、その仕事方法で固定化しがちです。新しいやり方を取り入れるなると、またイチから勉強し直し、これまでのやり方を変えなくはなりません。それが不安や面倒だと感じてしまうと、同じ方法を繰り返すマンネリ化状態になってしまいます。

マンネリ化することで起きる問題

では、マンネリ化することでどのような問題があるのでしょうか。

● 職員の学びや成長が止まる
マンネリ化とはルーチン化するとも言え、新しいものを取り入れたり学んだりすることが減ってしまいます。研修で学んできたといってもそれを仕事に取り入れようとしなければ身につかないでしょう。マンネリ化した状態でいることは職員の成長の足かせにもなります。職員が成長しないことで、保育の質の向上につながらない、役割を任せられる人が少ないというような状況につながります。

● 固定化した職場風土になる
現状維持のままでいたいというマンネリ状態でいると、いざ新しいものを取り入れようと職員に通達しても良い反応は得られないでしょう。今困っていないのにやる必要はないのではないか、新しいものを覚えたくないなどの否定的意見も増える可能性があります。

マンネリ化が解消されるとどうなるか

マンネリ化が解消されるとどのような状態になるのでしょうか。
職員が自分の成長を実感できるようになり、先を見越して挑戦や成長を目指していくことができます。
新しいことに取り組むモチベーションにもつながるため、会議で新しい意見が出たりそれを実行したりできると考えられます。

保育園側ができる3つのマンネリ防止法

新しいことに挑戦できる職場風土をつくる

新しいことに取り組む職場風土をつくるためには、まず職員から上がった意見を受け止めることから始めるのをおすすめします。どんどん意見を言える環境にするのが望ましいです。
そのためには、「心理的安全性」を確保することが必要です。心理的安全性とは、組織の中で自分の考えや気持ちを安心して発言できる状態をいいます。会議で意見を言うのは、若手や中堅であればとても不安な状況です。そこで発した意見に対して拒絶や否定をされると悲しい気持ちになりますよね。否定されるなら意見しないほうがよい、という考えにもなりがちです。一旦どんな意見でも受け止め、もし合わない意見であれば合わない理由を伝えることが大切です。
心理的安全性については、こちらのコラム記事で詳しい説明をご覧いただけます。

目標設定とその支援を仕組み化する

少しハードルの高い目標を設定し、その目標に向かって仕事をしたり達成したりすることで動機づけにつながります。
ただ単に目標設定をすればよいのではなく、達成できるように保育園側でもサポートの仕組みをつくることが必要です。
目標を達成できるような配置を考えることもできますし、研修を設定することもできるかもしれません。途中の面談などを通して、目標の達成度合いを承認して上手くいっていないところにはどう修正したらいいかを一緒に考えてもいいかもしれません。
また、目標を設定するときにも人によってハードルの高さが違う、抽象的でどのように評価したらいいかわからない場合もあります。目標の立て方なども一度学んでみると、より効果のある仕組みにすることができます。
目標管理についてはこちらのコラムから詳しい説明をご覧いただけます。

自園での成長の道筋を示す

職員が新しいことに挑戦してみようと目標をたてるとき、園からの期待が提示されていたら考えやすいのではないでしょうか。理念や保育目標から考えることも可能ですが、職員の成長のためであれば、自園における職員の成長のベクトルを示すことも必要です。なぜなら、今このステージにいる職員は、次のステージになるためにこのスキルを身につけてほしいという園からの期待を示すことで、職員が自分が進みたい方向と合っているか確認もできますし、もしズレていたら修正することもできるでしょう。
また、園に入職してその後自分がどんなキャリアを歩むことができるのか、先が見えたほうが安心しませんか?
中堅になってもまだまだ成長を期待したいことがたくさんあると思います。それを職員に伝えるための方法としてキャリアパスがあります。

まずは職員が先を見据えられるようなキャリアパスを作成しよう

マンネリ化の防止・解決策を3つ示しました。

● 新しいことに挑戦できる職場風土をつくる
● 目標設定とその支援を仕組み化する
● 自園での成長の道筋を示す

この中ではじめに実施してほしいのは、3つめの自園での職員の成長の道筋を示す、つまりキャリアパスを作成することです。新しいことに挑戦する、目標をたてて実施するためには、まずは方針づくりが大切です。方針やベクトルがない状態で進んでしまうと、思った方向とズレてしまう可能性があります。自分たちの園では、どんな保育士に成長してほしいと考えているか、具体的にどのようなスキルを持った職員をいうのか、そしてそれはどのように身に着けたらよいのか。

ぜひ、自園のキャリアパスを考えてみてはいかがでしょうか。
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