園長が点検したい保育園のリスクマネジメント|保育園で起こり得る代表的な6つのリスク

保育園のリスクマネジメント

投稿日:2022年9月14日

目次

保育園におけるリスクマネジメントとは

リスクマネジメント、日本語では危機管理と言われますが、保育園においては主に子どもたちにとっての危機を防ぐことを指します。危機管理マニュアルを作成して園内で共有を図っているという園も多いのではないでしょうか。

子どもたちに質の高い保育を提供する、その大前提には安全な保育環境があります。保育士は、大切な子どもたちの命を預かる仕事です。職員一人ひとりがその責務を理解し、日々の保育にあたらねばなりません。そして組織としては園全体でリスクを最小限にするための取り組みを実践していかねばならないのです。

今回は、保育園で起こり得るさまざまなリスクについてその防止策の基本的な考え方を見ていきましょう。自分たちの園ではどんな対策を取っているか、点検してみることをお勧めします。

事故防止

子どもの行動は予測不可能です。事故も起こりやすいしケガもします。ですが、保育園で起こる事故は防ぐことができる場合がほとんどです。災害と違い、事故には要因があります。職員は常に危険への意識を持ち、何が事故の要因となりうるのかを考え、その要因を排除することが重要です。

保育園の事故の要因は、遊具の不備や職員の過失だけではありません。子どもたちの行動の中にも事故の要因が多く含まれています。保育士は子どもたちに「安全とは何か」を教えるとともに、保育士自身が「子どもたちのお手本」となる安全な行動をしなければなりません。

職員の配慮

子どもの行動の特性を理解し、声かけや遊びの補助を行い、危険から守ります。各年齢の特徴や状況に応じた配慮点を把握し、臨機応変な対応を心がけましょう。

職員一人ひとりが子どもの発達への理解を深め、子どもの行動を予測して事故防止にあたる必要があります。自分が経験していない危機については、先輩職員やヒヤリハット報告書などから事例を得るなどしておくことも重要です。園全体でも、特に新しい職員が入ったときには、自園で起こりやすいヒヤリハット事例や過去の事故について共有するようにしましょう。

ヒヤリハット報告とは

日常の保育において「ヒヤリとした」「ハッとなった」事例、大きな事故に至らなかったが事故の寸前だったという事例を報告するもの。園ではこの報告をもとに定期的な事故防止対策の見直しを行います。

例)・子どもたちが積み重ねたイスの周りでケンカをしている
  ・砂場で破損したビンを発見した
  ・お散歩中に犬に手を伸ばして近づいて吠えられた

ヒヤリハット事例や活用についてはこちらの記事でご紹介しています。

事故の要因排除

子どもを取り巻く環境の危険チェックを行い、事故の要因となりそうな物を事前に排除します。チェック方法や排除方法を全職員が理解し実行しましょう。

事故の要因には、壊れた遊具や雨で滑りやすい廊下・施設の不備などの「環境による要因」や、苛立ち・遊びに夢中になっている・焦っているなどの子ども自身の「精神状態による要因」、袖から手が出ない服や装飾の多い服・かかとをつぶした靴など子どもの「服装による要因」、走り回る・能力以上のことをしようとする・危険箇所に近寄る・よそ見などの子どもの「行動による要因」などがあります。それらの排除できる要因を把握し、危険を回避することが必要です。

また、園内の危険にはパターンがあります。事故が起こりやすい危険ポイントを掴むことで園の環境に合わせた安全対策を立てることが可能になります。危険ポイントを探すときは、子ども目線を忘れてはいけません。子どもから見える景色への配慮や子どもの体なら入れてしまいそうな隙間の把握など危険ポイントは日常に潜んでいます。

危険ポイントをチェックしたら、園内で共有します。自分のクラスには関わりのない場所や年齢的に関係のない危険ポイントに思えても、子どもの予測不可能な行動への対応や園にいるすべての子どもを守るためにも、全職員が同じレベルで危険について理解し極力その要因を排除するよう努めることが必要です。

子どもたちへの安全指導

子どもの行動範囲の拡大に合わせながら、子ども自身に危険を回避できる能力を身につけさせることが重要です。生活や遊びを通し、危険への意識を高められるよう、子どもの発達に合わせた適切な安全指導を行いましょう。

  • 遊具・道具の正しい使い方、使用時のルールを教える
  • 「何が危険か」「どうなるか」を具体的に教える(行動の結果を想像させながら指導する)
  • 立ち入り禁止・危険箇所を教える
  • 覚えるまで反復して教える(「その場」で「その都度」、子どもと確認しながら指導する)

保育園では、事故防止のガイドラインをもとに自園の事故防止マニュアルを作成し共有するなどして、重大事故につながる危機を排除するよう努めなければなりません。

災害対策

災害が発生した場合、保育士は子どもたちを保護し、被害を最小限に抑えるための行動が必要です。子どもたちに不安を与えないよう、災害に対して冷静な態度で臨むためには普段から準備をしておくことが重要です。また、災害はいつ起こるかわからないものなので、防災対策は管理者などの一部の職員だけでなく全ての職員が的確に行動できるよう周知徹底しておきましょう。

子どもの身の安全の確保

小さい子どもは災害の怖さや性質を知りません。ただ「危ない」と言っても理解するのは難しいでしょう。基本的には大人が正しい知識と行動によって子どもたちの安全を確保しますが、日頃から「自分の命を守る力」を身につけさせる安全教育も重要です。

防災の知識を得る

例えば、地震発生時には大きな揺れで家具が倒れたりガラスの飛散や火災が発生したりするかもしれない。そんな危険要因となるものや危険を防止するための方法を学び、事前に対策をしておきましょう。防災の知識は、一般的なことはもちろん、保育園ならではの危険要因についても理解し学ぶ必要があります。

災害を想定して行動する

災害時、子どもたちがどのような危険に遭う確率が高いのか、また、災害に大きさによってどのような被害が起こるのかなど、事前に想定しておくことが重要です。その想定のもと危険箇所のチェックも定期的に行いましょう。「今、災害が起こったら私はどう行動するのか」を職員一人ひとりが意識する機会を意図的に作るようにします。

避難訓練

保育園では月1回、避難訓練の実施が義務付けられていますが、工夫して取り組むことで防災意識を高めることができます。2011年の東日本大震災以降、特に東北の保育園で見られるようになった取り組みについてご紹介します。

管理者不在の避難訓練
災害が起こったとき、頼りになる管理者が必ず園にいるとは限りません。園長や主任が不在の想定で行う避難訓練は、職員一人ひとりの当事者意識が高まるそうです。実際には園長と主任は訓練の様子を観察していて、実施後に客観的な視点でフィードバックをするそうです。

抜き打ちの避難訓練
いつ実施するか、一部の職員しか知らないという本気の避難訓練です。想定される災害の内容も知らされていないので、地震なのか火事なのか不審者なのか、内容によって避難の仕方は変わります。何をしている時に起こるかわからないのも本番さながら。ご飯やおやつを食べている時だったり午睡中だったりお外遊び中かもしれない。子どもたちも職員も真剣に考えて訓練するそうです。実施後に反省会を行い、危険と思われる箇所や連携がうまくいかなかったところをすぐに改善しています。この園の職員さんは普段から防災への意識が高いです。

想定外を想定した避難訓練
例えば、大雨の日に地震が起こったら…、園舎の工事中に火事が起こったら…、とあるクラスが避難場所を間違えて誘導してしまったら…、と想定外の事態を「設定」して行う避難訓練です。避難はスムーズに越したことはありませんが、きれいに終えるが目的ではありません。本来の安全に避難するという目的だけを目指し、トラブルが起こること込みで臨機応変に対応できるようあえて困難な避難訓練にチャレンジしているそうです。

他にも、防災のプロを招いて職員に防災研修と避難訓練の評価をしてもらったり、保護者に避難訓練に参加してもらったり、不審者対策の訓練をリアルな演技で実施したり、と各園でさまざまな工夫をしています。このような園で共通しているのは、避難訓練に慣れないようにしていることだと思います。いざというときに自分の頭で考えて動けるように。いつも同じ避難訓練になってしまっている、という園は一度見直してみてはいかがでしょうか。

情報管理

保育園には、保有する個人情報を第三者に漏らしてはならないという義務があります。もちろん、保育士個人にも守秘義務があります。情報化社会である今、情報漏えいが起こってしまったら一瞬で園の信用は失われかねません。子どもたち自身を守るのと同様に、その情報も守っていかねばならないのです。

2022年4月に改正された個人情報保護法の内容とあわせて、今一度、園の情報管理体制を見直しましょう。個人情報漏えいに繋がりかねない事例などはこちらの記事をご覧ください。

衛生管理

子どもたちにとって、清潔で安心な環境は必要不可欠です。乳幼児は抵抗力が弱く、保育園で過ごす時期は一生のうちでも感染症に罹りやすい時期です。気候の変化や室内の環境にも左右されやすく、季節の変わり目などにも敏感です。無菌室状態にするわけではありませんが、子どもたちの心身の健康のために園内の環境の衛生管理を行いましょう。

掃除により園の環境を清潔に保つ

正しい洗浄と除菌、清掃の方法を全職員で共有し、全職員が同じ意識で園内を清潔に保つ努力をしましょう。保育室・園庭・遊具・おもちゃなどの洗浄と除菌は、人によってやり方が違う、自分基準で綺麗であれば良い、というわけにはいきません。毎日の掃除も毎日は必要ないような場所の定期的な掃除も、園として掃除のルールを決めておきましょう。

子どもたちの清潔を保つ

複数の子どもが触れる場所には菌やウイルスがたくさん付着しています。また、低年齢児は口に物を入れることが多いため、その都度適切な対応が必要です。普段の何気ない行動の中でも、子ども自身や子どもを取り巻く環境を清潔に保つために保育士はさまざまなことに配慮しなければなりません。子どもの年齢によっては手洗いをする、汚れた服を自分で着替えるなど衛生観念を身につけるための指導も大切です。

調理室の衛生管理を徹底し食中毒を防ぐ

調理室内での衛生管理の目的は、食中毒や異物の混入などの事故を防ぎ、衛生的に安全な食事を提供することです。抵抗力の弱い乳幼児は食中毒に罹りやすいため、調理室の衛生管理は子どもの命に関わるという認識を持って取り組みましょう。
食中毒は、病原微生物やその生産物などを飲食によって摂取した結果起こる、急性の健康障害です。下痢や腹痛・嘔吐などの急性の胃腸炎症状を示すものが多いとされています。特に乳幼児は消化酵素・免疫機能の発達が不十分で身体の機能・腸内細菌が未発達のため、少量の菌でも発症・重症化しやすく、時には死に至ることもあります。生の食品を提供しない、材料は新鮮なものを扱う、調理室の職員の健康管理を徹底するなど、基本的な衛生管理を徹底し、園内の食中毒を防ぎましょう。

食中毒予防の三大原則
・付けない:食品やふきん、手に付着した細菌を、調理段階で食品に付けないようにする
・増やさない:調理した物はすぐに食べる、解凍するときに室温で放置しないなど菌の増殖を防ぐ
・やっつける:生の肉を加熱する時などは、確実に殺菌できる温度で加熱殺菌をする

感染防止

抵抗力の弱い子どもたちが集団で過ごす保育園では、さまざまなものを介して二次感染が簡単に起こってしまいます。保育士は、徹底した二次感染防止によって子どもたちの命を守らなければなりません。感染防止対策を職員全員で共有・実行することで、二次感染の未然防止や、たとえ感染者が出たとしても最小限に抑えるように努めましょう。

昨今の感染症拡大を経て、園内の感染防止について改めて見直したという保育園も多いでしょう。保育園にとって園内での二次感染を防止することは義務であり、保育士はマニュアルに沿って二次感染の経路を遮断し、自分自身も二次感染の媒体となってしまわないよう配慮が必要です。

感染症を知る

まずは感染症について正しい知識を持ちましょう。相手を知らなければ対策のしようがありません。感染症にはその菌・ウイルスによって感染経路が異なります。感染経路とは病原体が体内へ侵入する経路です。

接触感染

触れることによる感染
頻度の高い感染経路。人と人との触れ合いまたは物の表面を通じて間接的な触れ合いで病原体が皮膚に付着。それが目や口などの粘膜に付着すると感染が成立する。媒体となるのはほとんどが手指である。主な対策は手洗いの徹底。

経口感染

飲食による感染
汚染された食品を摂取、もしくは汚染された手などを介して口から菌を取り込んでしまうと感染が成立する。食中毒などは主に経口感染である。主な対策は手洗いの徹底、調理室においての衛生管理。

飛沫感染

咳やくしゃみによる感染
保菌者の咳やくしゃみ、会話などによって生じた飛沫を吸い込み、喉や鼻などの粘膜に付着してしまうことで感染が成立する。飛沫は粒子としては重いため、すぐに落下し空気中に浮遊し続けることはない。主な対策は保菌者と距離を取りマスクを着ける。

空気感染

空気による感染
飛沫として空気中に飛んだ病原体が、飛沫の水分が蒸発しても病原性を保ち、浮遊して他人までに到達することで感染が成立する。飛沫よりはるかに小さな粒子なので、屋内であれば建物全体の空気を汚染する恐れがある。この場合の飛沫は通常のマスクを通過してしまうため、非感染者の予防は難しい。主な対策は換気、症状が消えるまで保菌者の登園禁止。


保育園では、厚生労働省の感染症対策ガイドラインをもとに園内のマニュアルを作成して共有するなど、園長だけではなく職員一人ひとりが感染症について知り対策できるようにしていかなければなりません。

保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)

こども家庭庁

不審者対策

もしも園内に不審者が侵入してきたら、大勢の子どもを少人数の大人で守らねばなりません。大人は自分たちしかいないんだという気持ちで子どもを守ることを最優先に行動することが保育士に求められます。

不審者の侵入を許さない環境づくり

不審者対策で一番大切なのは「不審者を侵入させないこと」です。不審者を侵入させないためには、という観点で事前準備や未然防止に重点を置いて取り組みましょう。施設・設備のハード面と、毎日の安全管理や地域との協力といったソフト面での取り組みが考えられます。危機を未然に防ぐことで子どもたちを危険に晒さずに済むのが最も重要です。

侵入させないためには、「侵入しようと思わせない」こと。出入り口の施錠管理はもちろん、不審者の動線を考え点検と確認を行いましょう。他にも、園庭のフェンスで侵入しやすいところはないか、防犯カメラが設置されていることがわかるようになっているか、来園者があった場合にわかりやすく受付まで導けるようになっているか、来園者には来園目的などを聞き一人で園内を歩かせないようにしたり来園者だとわかるような目印をつけてもらったりする、護身用具をすぐに取り出せる場所に常備しておく、などチェックして対策できることはたくさんあります。

不審者情報の把握と侵入の未然防止

地域で不審者情報がある、園の周辺で不審者を目撃した、お散歩中などの園外保育中に不審者を見かけた、など不審者が近くにいる場合、これ以上子どもに近づけさせないための対策を取らねばなりません。

まず地域から不審者情報を得た場合には、慌てずに状況を確認しましょう。不審者の特徴やどこで目撃されたのかなどを職員間で共有をし、情報をもとにパトロールしてくれる警察や自治体の方と連絡をとり安全確保ができるまで園内で子どもたちの安全を確保します。

園の周辺で不審者を目撃した職員がいた場合は、その不審者から目を離さないようにしながら園長への報告や警察への通報を園内のルールに従って行います。園内で保育中のクラスであれば子どもたちを保育士の近くに集めて人数確認を行った上で室内の施錠を確認したり、園庭で保育中であれば不審者にも子どもたちにも気づかれないよう自然に室内に入ることを促して安全を確保します。不審者侵入でニュースになった宮城県の認定こども園では、園庭で保育中の子どもたちに「雨が降ってきそうだからお部屋に入ろうか」と声をかけパニックにならずに室内へ避難したそうです。

お散歩などの園外保育中に不審者を見かけたり、地域に不審者情報が出たりした場合は、安全な避難ができるよう園と連絡を密にとって対応します。安全なルートで園に帰れる場合は速やかに帰り、例えば園の近くに不審者がいるような場合は一旦避難できるような安全な場所をお散歩ルートに事前に見つけておく必要があります。

侵入された場合の対応

学校内にいる不審者を職員が目撃したにも関わらず「きっと保護者だろう」と勝手に判断し、事件を防げなかったという事例があります。園内で見知らぬ人を見かけたら「こんにちは」と声をかけ、その人が何の目的で園内にいるのか確認しなくてはなりません。

不審者が園内に侵入したら、という想定の避難訓練は実施している園も多いでしょう。基本的にはそのルールに則り対応しますが、いざというときは「子どもの命を守るには」を判断の基準にして臨機応変に対応せねばなりません。

保育園における不審者への対応は、子どもたちの安全第一と警察が来るまでの時間稼ぎです。まずは相手の様子を観察し、話し合いに応じるか、危害を加えるような素振りがあるか、見極める必要があります。退去を求めて応じるようであれば、園外まで見送り戻ってこないことを確認する必要がありますし、暴力的な言動や凶器となり得るものを持っているときには刺激しないように注意しながら警察が到着するまで子どもから離れたところで隔離する必要があります。1対1にならないよう複数人で対応し、護身用の道具や相手と距離を取れるような位置関係を保つようにし、時間稼ぎをします。もちろん不審者に対応しなければならない職員は怖い思いをすると思いますが、危険が取り除かれ子どもたちの安全が確保されるまでは、逃げるわけにはいかないのです。

正常性バイアスを認知する

“正常性バイアス”という言葉を聞いたことはあるでしょうか。異常な事態が起こっても異常を認めず「たぶん大丈夫だろう」と平静を保とうとする心の働きのことです。

近年多い大雨災害を例にしてみましょう。「前にも大雨警報が報道されたけどその時は逸れたし今回も大丈夫だろう」「これまでそんな被害にあったことはないからきっと大丈夫だろう」「住んでいる地域も警戒区域だが自分のところは大丈夫だろう」と根拠のない”大丈夫”に支配され、結果的に行動に移すのが遅れてしまうことがあるのです。

これはその人が特別楽観的なのではなく、人が異常を感じるのはストレスなので、それを軽減するためにはたらく心理なのだと言います。ですから、TVの前では「なんでもっと早く避難しなかったんだ」と思うようなことでも、実際にその場を経験した人にすると「あっという間の出来事」だったのです。パニックになって逃げ遅れてしまうのではなく、逆に冷静に逃げないことを選んでしまうのがこの心理の怖いところです。これを避けるためには、入念な避難準備と日常的な避難訓練が有効だそうです。頭や心で正常に判断できない状況に立たされた時には体に染み付いた行動が優先されるからです。命を守る行動を”特別なこと”にせず、”当たり前なこと”にすることが本当の防災です。

そんな正常性バイアスは、災害時だけでなく日常にも潜んでいます。「まさか」「自分に限って」「きっとたいしたことはない」「ありえない」と無意識に思い込んでしまう経験、誰しも身に覚えがあることでしょう。そもそも人は基本的に変わりたくない生き物です。変化するより今のままでいる方がはるかに楽でストレスの少ないことだからです。そこに正常性バイアスが加わるとさらに、慣例に囚われたり、新しいやり方や取り組みを億劫に感じたりし、やらない理由探しをします。

リスクマネジメントでは、危機が起こることを想定して事前に対策を施したり準備したりします。しかし心のどこかで、「こんなに準備をしても実は危機は起こらないだろう」「私たちの園は大丈夫だろう」と思っているところがあるのではないでしょうか。

「あ、これは正常性バイアスかもしれない」と認知することから始めましょう。

園と職員が一丸となって子どものリスクを防ごう

どんな仕事にもリスクはつきものです。どんな会社でも組織ごとにリスクマネジメントの対策をとっています。保育園という組織においては、リスクの範囲が多岐にわたります。そしてそれらは、特別なときにだけ警戒が必要な訳ではなく、日常の保育の中に潜んでいるのです。だからこそ、とある職員一人ができているだけでは不十分です。園にいる職員全員が同じレベルの危機意識を持っていなければ、いざという時の臨機応変な対応にも差が出てしまいます。

子どもたちを危機から守るためには、危機管理を特別なものにしないことが必要です。定期的に園の危機管理対策を点検し、日常の行動が危機意識の高い行動になるよう、園のルール整備とや職員と子どもたちの安全教育を実施しましょう。

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