幼稚園・認定こども園の処遇改善等加算【令和8年度版】|「幼稚園型認定こども園」は幼稚園ではなく認定こども園として扱う

投稿日:2026年7月9日
処遇改善等加算の解説は、その多くが保育所を念頭に書かれています。「副主任保育士」「職務分野別リーダー」「キャリアアップ研修」——こうした言葉で語られる説明を読みながら、幼稚園や認定こども園の先生方からは、こんな声をよく耳にします。
「うちは認定こども園だけど、保育所と同じルールで考えていいのだろうか」「『幼稚園型認定こども園』は、幼稚園として扱うのか、認定こども園として扱うのか」「施設型給付に移行したら、処遇改善は何が変わるのか」——私たちが園の人材育成をお手伝いするなかでも、施設類型による扱いの違いに、確信を持てないまま運用している園は少なくありません。
処遇改善等加算は、施設の「名称」ではなく、どの給付の枠組みに属するかで扱いが決まります。本コラムでは、幼稚園・認定こども園を中心に、施設類型ごとの扱いの違いを整理します。とりわけ間違えやすいのが、名称に「幼稚園」とついていても、加算上は「認定こども園」として扱う「幼稚園型認定こども園」です。区分3の職名や研修修了要件が施設類型でどう変わるのか、保育所との対比も交えながら、自園の足元を確認しましょう。
※一本化後の制度の全体像(区分1・2・3の仕組みとキャリアパス要件)や、申請から実績報告までの実務は、それぞれこちらのコラムで解説しています。本稿は施設類型による違いに絞ってお伝えしますので、あわせてご覧ください。


1. 扱いを決めるのは「施設の名称」ではなく「給付の枠組み」
最初に押さえたいのは、処遇改善等加算は「子ども・子育て支援新制度の施設型給付」を受ける施設・事業所を対象とした仕組みだ、という点です。つまり、処遇改善等加算上の扱いを決めるのは施設の名称ではなく、どの給付の枠組みに属しているかです。
前提として、2025年度(令和7年度)から、旧来の処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲは「処遇改善等加算」として一本化され、区分1(基礎分)・区分2(賃金改善分)・区分3(質の向上分)に整理されました。このうち区分3は、旧加算Ⅱに相当する「技能・経験を積んだ職員への追加的な処遇改善」で、施設類型による違いが最も表れる部分です。
自園がどの枠組みにあたるかを、まず次の表で確認してください。
| 施設類型 | 処遇改善等加算上の扱い | 特に確認すること |
|---|---|---|
| 施設型給付を受ける幼稚園 | 「幼稚園」として扱う | 幼稚園向けの研修修了要件、中核・専門・若手リーダーの整理 |
| 幼稚園型認定こども園 | 「認定こども園」として扱う | 名称は幼稚園型でも認定こども園のルールで確認 |
| 幼保連携型認定こども園 | 「認定こども園」として扱う | 保育教諭・主幹保育教諭等の職名・配置と連動 |
| 保育所型認定こども園 | 「認定こども園」として扱う | 同上 |
| 私学助成を受ける幼稚園 | 施設型給付の枠組みの外(加算の対象外) | 施設型給付へ移行する場合は加算の準備が新たに必要 |
ポイントは、「認定こども園」はその種類(幼稚園型・幼保連携型・保育所型)を問わず、ひとまとめに『認定こども園』として扱うこと、そして施設型給付を受けない私学助成幼稚園は、そもそもこの加算の枠組みの外にあることです。この2点を取り違えると、自園に当てはまらないルールで準備を進めてしまいます。
2. 幼稚園型認定こども園は「幼稚園」ではなく「認定こども園」
ご相談のなかで特につまずきが多いのが、幼稚園型認定こども園の扱いです。名称に「幼稚園」とあるため、「うちは幼稚園のルールでいいはず」と考えてしまいがちですが、これは誤りです。
区分3の研修修了要件を定めた国の通知は、施設類型を「保育所及び地域型保育事業所」「幼稚園」「認定こども園」の3つに分けて整理しています。幼稚園型認定こども園は、このうち「認定こども園」にあたります。つまり、名称が幼稚園型であっても、研修修了要件や対象者の整理は、幼稚園ではなく認定こども園のルールで確認することになります。
さらに重要なのが、認定こども園の職員に関する次の整理です。
(注)認定こども園に勤務する加算対象職員であれば、担当する子どもの認定区分……や幼稚園教諭免許状及び保育士資格の保有状況にかかわらず差異はないこと。
出典:こども家庭庁・文部科学省「施設型給付費等に係る処遇改善等加算(区分3)に係る研修修了要件について」(令和7年9月16日通知)
これは実務上とても大切な点です。たとえば、幼稚園型認定こども園で1号認定(教育標準時間)の子どもを主に担当している職員であっても、認定こども園の職員として研修修了要件を確認します。「1号担当だから幼稚園扱い」「2号・3号に関わる職員だけ別扱い」といった整理は適切ではありません。担当する認定区分や、持っている免許・資格(幼稚園教諭免許状か保育士資格か)で線を引かず、認定こども園の職員として一律に確認する。ここが出発点になります。
3. 区分3の「職名」は、施設類型で異なる
区分3でつまずきやすいもうひとつの理由が、施設類型によってリーダーの職名が違うことです。保育所向けの資料に出てくる「副主任保育士」「職務分野別リーダー」という言葉を、そのまま幼稚園・認定こども園に当てはめようとすると、話がかみ合わなくなります。
区分3の対象は、大きく「上位のリーダー層(区分3-①)」と「分野を担当するリーダー層(区分3-②)」に分かれます。それぞれの職名を施設類型ごとに並べると、次のようになります。
| 区分3での位置づけ | 保育所・地域型保育事業 | 幼稚園 | 認定こども園 |
|---|---|---|---|
| 区分3-①(上位リーダー層) | 副主任保育士・専門リーダー | 中核リーダー・専門リーダー | 保育所系・幼稚園系の両方の職名が関係 |
| 区分3-②(分野担当リーダー層) | 職務分野別リーダー | 若手リーダー | 同上 |
| 人数算定に関わる管理職等 | 園長・主任保育士 | 副園長・教頭・主幹教諭 | 副園長・教頭・主幹保育教諭・主任保育士等 |
ここで対比してわかるのは、保育所の「副主任保育士」は幼稚園の「中核リーダー・専門リーダー」に、保育所の「職務分野別リーダー」は幼稚園の「若手リーダー」に、それぞれ対応するということです。そして認定こども園では、保育所系の職名(副主任保育士・職務分野別リーダー)と幼稚園系の職名(中核リーダー・若手リーダー等)の両方が関係します。これは、認定こども園が幼児教育と保育の両方を担う施設だからです。
大切なのは、自園で使っている役職名が、国の通知でいうどの職位にあたるのかを、職位発令書や職務命令書で説明できるようにしておくことです。区分3は、役割を「なんとなく担っている」では十分ではなく、発令の根拠とセットで管理する必要があります。
※研修修了要件の詳細や、それを満たすための受講計画の立て方は、毎月開催している経営者・管理者向けの無料セミナーでも解説しています。
4. 区分3の「研修修了要件」も、施設類型で異なる
職名だけでなく、区分3で求められる研修の中身も、施設類型によって異なります。ここも保育所と幼稚園・認定こども園を対比すると、違いがはっきりします。
保育所・地域型保育事業所では、保育士等キャリアアップ研修が柱です。乳児保育・幼児教育・障害児保育・食育・アレルギー対応・保健衛生・安全対策・保護者支援・子育て支援といった専門分野別研修(各分野15時間以上)と、マネジメント研修(15時間以上)が用意されています。
幼稚園・認定こども園では、幼稚園教育要領や幼保連携型認定こども園教育・保育要領等を踏まえ、教育・保育の質を高める研修が対象になります。要件は「分野の数」ではなく「合計の時間数」で示される点が、保育所との大きな違いです。
それぞれの修了要件を並べると、次のとおりです。
| 区分3での位置づけ | 保育所・地域型保育事業 | 幼稚園・認定こども園 |
|---|---|---|
| 区分3-①(上位リーダー層) | 副主任保育士:専門分野別研修3分野以上+マネジメント研修/専門リーダー:4分野以上(1分野15時間以上) | 中核リーダー・専門リーダー:合計60時間以上(中核リーダーは、うち15時間以上がマネジメント分野) |
| 区分3-②(分野担当リーダー層) | 職務分野別リーダー:担当分野を含む1分野以上 | 若手リーダー:合計15時間以上 |
出典:こども家庭庁・文部科学省「施設型給付費等に係る処遇改善等加算(区分3)に係る研修修了要件について」(令和7年9月16日通知)をもとに作成
幼稚園・認定こども園では、園が企画・実施する園内研修も、中核リーダー・専門リーダーは15時間以内、若手リーダーは4時間以内の範囲で時間数に含められます。また、保育士等キャリアアップ研修(保育実践研修等を除く)を受講している場合も、これらの研修時間に算入できます。ただし、マネジメント研修が有効なのは中核リーダーに限られる点には注意してください。
加えて、幼稚園・認定こども園に特有の論点として、旧免許状更新講習の扱いがあります。旧免許状更新講習は、加算認定自治体において研修の受講が適切に確認できる場合に限り、引き続き、幼稚園・認定こども園における研修修了要件を満たすものとして取り扱って差し支えないとされています。なお、免許法認定講習を研修時間に算入できるかは、自治体の取扱要領によります。過去に受講した講習が活かせる場合があるため、修了証や履修証明が残っているか、研修受講歴の一覧に整理されているかを確認しておきましょう。
5. 令和8年度の注意点と、職員が施設をまたぐとき
2026年度(令和8年度)に向けて、幼稚園・認定こども園が特に注意したい変更があります。それは、区分3の研修修了要件が、令和8年度から本格的に適用されることです。令和7年度は経過的に緩和され、幼稚園・認定こども園の中核リーダー・専門リーダーは45時間以上の受講で認められていましたが、令和8年度からは、本来の合計60時間以上(中核リーダーはうちマネジメント15時間以上)が求められます。
あわせて、区分3の加算額の算定に用いる研修修了者の人数は、原則として当年度4月1日時点で確定します。令和7年度には、研修修了「見込み」の職員を一定の条件で人数に含められる経過措置がありましたが、これは令和7年度限りのものでした。「研修はこれから受ける予定だから大丈夫」という昨年度までの感覚を引きずると、加算額の算定でつまずきかねません。誰が・いつ・どの研修を、何時間受けるのか。年度単位での受講管理が、いよいよ欠かせなくなっています。
もうひとつ、施設類型をまたぐ場面でよくあるのが、職員の異動に伴う研修の読み替えです。たとえば、認定こども園や幼稚園で中核リーダー・専門リーダー相当の研修(合計60時間以上)を受けてきた職員が、保育所へ異動した場合。国の通知では、加算認定自治体が所定の時間以上の受講を確認できるときは、保育所の研修修了要件を満たすものとして取り扱える、とされています(その後できるだけ速やかに保育所側の研修を受けるよう促すことが前提です)。
逆に、保育所のキャリアアップ研修を積んできた職員が幼稚園・認定こども園へ移る場合もあります。いずれにせよ、施設類型が変わると研修の「数え方」も変わるため、職員が施設をまたぐときは、過去の研修がどこまで通用するのかを、その都度、自治体に確認することが大切です。
6. 施設型給付幼稚園と私学助成幼稚園——移行で処遇改善が「新たに発生する」
最後に、幼稚園のもうひとつの分かれ道、施設型給付と私学助成の違いに触れておきます。
施設型給付を受ける幼稚園は、新制度に移行した幼稚園です。公定価格にもとづく施設型給付の中で、基本分単価や各種加算が設定され、その加算のひとつとして処遇改善等加算が位置づけられています。一方、施設型給付を受けない私学助成幼稚園は、都道府県の私学助成の枠組みに残る形で、処遇改善等加算の対象にはなりません。
ここで知っておきたいのは、私学助成幼稚園が施設型給付(または認定こども園)へ移行すると、処遇改善等加算に関する実務が新たに発生することです。具体的には、次のような準備が必要になります。
- 区分1のための平均経験年数の確認と、過去勤務に係る在職証明書の収集
- 給与規程・賃金表の整備(職位・職責に応じた賃金体系の根拠づくり)
- 区分2の賃金改善計画と配分方法の検討
- 区分3の対象者と人数の試算、研修修了要件を満たす職員の確保
- 実績報告に耐えられる給与台帳・証拠資料の整備
とりわけ初年度は、「経験年数の確認」と「給与規程の整備」に時間がかかります。移行を検討している園は、申請する年度の前から準備を始めておくと安心です。
おわりに:類型が変わっても、変わらないもの
ここまで、施設類型によって変わる扱い(職名、研修修了要件、給付の枠組み)を見てきました。最後に、私たちが数多くの園の人材育成をお手伝いするなかで実感している、ひとつの視点をお伝えします。
それは、施設類型によって変わるのは「呼び名」や「研修の数え方」であって、その土台にある『役割・育成・処遇をつなぐ仕組み』は、どの類型でも変わらないということです。中核リーダーと呼ぶか副主任保育士と呼ぶかは違っても、リーダーの役割を明確にし、必要な学習機会を提供し、それを処遇に結びつける。この人材を育てる設計図、すなわちキャリアパスが園に根づいているかどうかが、処遇改善を「書類のための作業」で終わらせず、職員が長く働き続けられる職場づくりにつなげられるかを左右します。
折しも、こども園化や新制度への移行は、職員の役割や配置を見直す大きな節目です。だからこそ、移行や類型変更のタイミングは、キャリアパスそのものを設計し直す絶好の機会でもあります。
最後に、自園で確認したいポイントを整理します。
- 自園がどの施設類型(施設型給付幼稚園/幼稚園型・幼保連携型・保育所型認定こども園/私学助成幼稚園)にあたるかを説明できる
- 幼稚園型認定こども園は、名称ではなく「認定こども園」のルールで確認している
- 区分3の自園の役職名が、国通知のどの職位(中核・専門・若手リーダー等)に対応するかを発令の根拠とともに説明できる
- 区分3の研修修了要件が、令和8年度から本適用(幼稚園・認定こども園は合計60時間以上)になることを踏まえ、受講計画を立てている
- 職員が施設類型をまたぐ場合の研修の読み替えを、自治体に確認している
執筆:杉村基樹(株式会社ネクサス代表取締役)
ひとつでも不安が残る項目があれば、年度の早いうちに整理しておくことをおすすめします。なお、申請期限・提出様式・添付書類、研修修了の確認方法は自治体によって異なります。最終的には、必ず施設所在地の自治体要領をご確認ください。









