処遇改善等加算の区分1・区分2・区分3とは【2026年度(令和8年度)版】|違い・加算率・配分ルールを園長・管理者向けに整理

投稿日 2026年10月9日
処遇改善等加算の区分1・区分2・区分3とは、2025年度(令和7年度)に旧加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを一本化したときに整理された、3つの内訳のことです。区分1は経験年数に応じた昇給、区分2は職員全体の賃金改善、区分3はリーダー層への追加的な賃金改善にあたります。
一本化から2年目に入っても、「区分2と区分3は、何がどう違うのか」「区分2は園長にも配ってよいのか」「区分3を賞与でまとめて払うのはだめなのか」など、まだ運用に迷われている方も多いようです。
このコラムでは、こども家庭庁の通知(令和8年4月8日改正)とFAQ(第7版)に沿って、3つの区分の違いを園長・管理者の方に向けて整理します。
処遇改善等加算の区分1・区分2・区分3の違い
| 項目 | 区分1(基礎分) | 区分2(賃金改善分) | 区分3(質の向上分) |
|---|---|---|---|
| 目的 | 職員の平均経験年数の上昇に応じた昇給 | 職員の賃金の改善 | 技能・経験の向上に応じた追加的な賃金改善 |
| 旧制度との対応 | 加算Ⅰ(基礎分) | 加算Ⅰ(賃金改善要件分)・加算Ⅲ | 加算Ⅱ |
| 加算額の算出方法 | 平均経験年数に応じた加算率(2〜12%) | 6%(平均経験年数11年以上は7%)+9,000円相当の改善のための率 | 単価×対象人数(基礎職員数の1/3・1/5。研修修了者数が上限) |
| 主な要件 | キャリアパス要件 | 加算額の全額を賃金改善に充てる…など | 研修修了者が1人以上いる …など |
| 賃金改善の対象 | 通常の教育・保育に従事するすべての職員 | 区分1と同じ(対象範囲は施設で決める) | 副主任保育士等・職務分野別リーダー等 |
| 支給方法 | 勤続年数等を基準とする昇給等 | 基本給・手当・賞与・一時金から項目を特定 | 毎月の手当または基本給 |
| 同一法人の他施設への充当 | ― | できる | できない |
出典:こども家庭庁・文部科学省「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(令和8年4月8日最終改正)、こども家庭庁「処遇改善等加算に関するFAQ(よくある質問)第7版」(令和8年5月15日時点版)、こども家庭庁「処遇改善等加算について(説明資料)」(令和7年10月6日)をもとに作成。各資料はこども家庭庁のウェブサイトに掲載されています。
通知では、3つの区分を通じた目的を次のように記しています。
賃金体系の改善を通じて「長く働くことができる」職場環境を構築し、もって質の高い教育・保育の安定的な供給に資するものとすること。
区分1(基礎分)とは|経験年数に応じた昇給
区分1は、職員の平均経験年数が積み重なるのに合わせて昇給していくための原資です。加算率は、その施設に勤務するすべての常勤職員の平均経験年数で決まります。

出典:こども家庭庁「処遇改善等加算について(説明資料)」を参考に当社で作成
平均経験年数は、6か月以上の端数を1年に切り上げ、6か月未満の端数を切り捨てて判定します。例えば計算した結果が9年6か月であれば、10年として扱います。
区分1に係る加算額は、勤続年数等を基準として行う昇給等に充てることとされています。
区分1の要件はキャリアパス要件
区分1を受けるには、次のキャリアパス要件を満たす必要があります。
- 勤務条件と賃金体系の整備:職位・職責に応じた勤務条件と賃金体系を定めて就業規則等の書面に整備し、全職員に周知していること
- 資質向上の計画と研修:職員と意見を交換しながら資質向上の目標と計画を立て、研修の実施または機会の確保を行い、全職員に周知していること。この計画には、研修や技術指導のフィードバックと、資格を取ろうとする職員への支援が含まれる
この2つの両方に適合するか、区分3の適用を受けていることが条件です。
令和8年度からは、キャリアパス要件を満たしていない施設は区分1の認定を受けられません。 FAQ(第7版)では、要件を満たしたあと年度の途中から認定を受けることは可能とされています。

区分2(賃金改善分)とは|職員全体の賃金を改善する
区分2は、職員の賃金の改善に充てるための原資です。旧加算Ⅰの賃金改善要件分と旧加算Ⅲが、ここにまとめられました。
加算率は、平均経験年数が11年以上の施設は7%、11年未満の施設は6%です。これに、公定価格上の基礎職員1人当たり9,000円相当の改善を行うための率(告示の別表に定める割合)が加わります。

出典:こども家庭庁「処遇改善等加算について(説明資料)」を参考に当社で作成
区分2は誰に配分できるか
区分1・区分2による賃金改善の対象について、FAQは次のように答えています。
保育士や幼稚園教諭だけでなく、事務職員、調理員、栄養士やスクールバスの運転手等を含め、通常の教育・保育に従事するすべての職員(非常勤職員含む)が対象になります。
そのうえで、区分2を実際にどの範囲の職員に配分するかは、各施設で決める必要があります。通知は、対象者や改善額が恣意的に偏らないこと、改善する項目以外の賃金の水準を下げないことを求めています。法人の役員を兼務している施設長も、施設の給与規程に基づいて給与が支払われていれば対象にできます。
区分2の支給方法
区分2は、基本給・手当・賞与・一時金のなかから改善する賃金の項目を特定し、毎月払いや一括払いなどの方法で支払います。名称と内訳は、施設で明確に管理しておく必要があります。
ただし、区分2を賞与や一時金だけで支払うと、要件を満たせない場合があります。 区分2と区分3を合わせた改善額の2分の1以上は、基本給または決まって毎月支払われる手当で改善することとされています。判定のしかたは、後述の「区分2と区分3に共通するルール」で整理します。
通知は、手当や一時金で支払っている分について、基本給の引上げや定期昇給の増額に段階的に反映していくことが望ましいとし、給与表や給与規程の見直しを進めるよう求めています。
区分2の加算額は、その一部を、同一の設置者・事業者が運営する他の特定教育・保育施設や特定地域型保育事業所の賃金改善に充てられます。
区分3(質の向上分)とは|リーダー層への追加的な賃金改善
区分3は、副主任保育士や職務分野別リーダーなど、技能と経験を積んだ職員への追加的な賃金改善に充てる原資です。旧加算Ⅱにあたります。
| 区分3-① | 区分3-② | |
|---|---|---|
| 対象 | 副主任保育士等(副主任保育士・専門リーダー・中核リーダーなど) | 職務分野別リーダー等(職務分野別リーダー・若手リーダーなど) |
| 経験年数の目安 | おおむね7年以上 | おおむね3年以上 |
| 1人あたりの改善額 | 月額4万円を超えない範囲 | 原則として月額5千円(副主任保育士等の最も低い改善額を上回らない範囲で、月額5千円以上4万円未満も可) |
| 加算額を計算する人数 | 人数A=基礎職員数×1/3 | 人数B=基礎職員数×1/5 |
基礎職員数は、実際に在籍している職員の数ではなく、公定価格上の算定人数です。人数A・人数Bは、1人未満の端数を四捨五入し、結果が0になる場合は1とします。

出典:こども家庭庁「処遇改善等加算について(説明資料)」を参考に当社で作成
区分3には、区分1・区分2と違う点が3つあります。
研修修了者の数が加算額の上限になる
研修修了者が1人以上いることが要件です。加算額は人数A・人数Bで計算しますが、研修修了者がその人数に届かない場合は、修了者の人数で計算します。数える基準日は加算を受ける年度の4月1日で、修了見込みの職員は含めません。4月1日時点で修了者がいない施設も、年度の途中で1人以上を確保できれば、その翌月から(月の初日に確保できた場合はその月から)加算を受けられます。
毎月の手当か基本給で支払う
役職手当や職務手当など、職位・職責・職務内容に応じて決まって毎月支払われる手当、または基本給で改善します。賞与や一時金でまとめて支給する設計にはできません。ただし、残額の調整は例外です。対象職員が想定外の事情で休業した場合や、法定福利費の事業主負担が見込みより少なかった場合に生じた残額は、一時金で支払うことや、発令していない職員に配分することが認められています。
他の施設には充てられない
旧加算Ⅱでは、加算額の20%を上限に同一法人の他施設へ充てられましたが、区分3ではできなくなりました。
副主任保育士の賃金が主任保育士を上回ってしまう場合など、賃金のバランスをとる必要があるときは、園長以外の管理職(主任保育士、副園長、教頭、主幹教諭など)にも区分3-①で改善できます。この場合の改善額は4万円未満が上限です。

区分2と区分3に共通するルール
区分2と区分3には、共通の要件があります。配分を決める前に押さえておきたいのは次の5点です。
- 加算額の全額を賃金改善に充てる:区分2・区分3のそれぞれで、改善額が加算額を下回らないこと。加算額の比較対象となる改善額には、賃金の改善に伴って増える法定福利費等の事業主負担分を含められる。実績が加算額を下回った場合は、差額を翌年度に速やかに職員へ支払う
- 半分以上は毎月の賃金で:区分2と区分3を合わせた改善額の2分の1以上を、基本給または決まって毎月支払われる手当で改善する
- 人事院勧告による増額分も全額を賃金へ:年度の途中で国家公務員の給与改定に伴う増額改定があった場合は、それに応じた賃金の追加的な支払いを行う(改善に伴う法定福利費等の事業主負担分に充ててもよい)
- もとの賃金水準を下げない:加算による改善分を除いた賃金の総額が、基準年度を下回らないこと
- 職員に周知する:賃金改善の具体的な内容を職員に知らせる

出典:こども家庭庁「処遇改善等加算について(説明資料)」を参考に当社で作成
「半分以上は毎月の賃金で」は、区分2と区分3を合わせて判定します。区分3はもともと全額が毎月の手当か基本給なので、区分2を賞与中心で配っている園も、合計では2分の1に届く場合があります。自園の区分2と区分3の金額を確かめてみてください。なお、人事院勧告を受けた国家公務員の給与改定に伴って増えた区分2の加算額は、この判定に使う改善額に含めません。
認定は区分ごとに行われる
認定は、区分1・区分2・区分3のそれぞれについて行われます。FAQ(第7版)では、区分2は認定されても区分1は認定されないケースもあり得るとしています。提出書類は、区分2が「区分1の書類に加えて賃金改善計画書など」、区分3が「区分2の書類に加えて加算算定対象人数等認定申請書など」と、積み上げる形になっています。

処遇改善等加算の配分は、区分の位置づけから考える
3つの区分は、園の賃金のなかで担う役割が違います。私たちは、配分を考えるときに次の対応で整理することをおすすめしています。
区分1は「年数とともに上がる部分」
勤続年数等による昇給の原資です。賃金表の号俸や定期昇給の設計と紐付けます。
区分2は「全員の水準を底上げする部分」
対象の範囲と賃金の項目を園が決められます。裁量が大きいぶん、「なぜこの範囲で、なぜこの金額か」を職員に説明できるかが問われます。一時金で配ってきた園は、通知が求めているとおり、基本給や定期昇給への反映を計画的に進める時期に来ています。
区分3は「役割に応じて差をつける部分」
リーダー層に配分する区分です。同じ副主任保育士でも改善額に差をつけられる一方、その根拠を明確にする必要があります。経験年数なのか、担っている役割の重さなのか。等級と役職の定義があれば、配分は園長のさじ加減ではなく、制度に基づく判断として説明できます。
3つの区分について、自園の等級・役職・賃金表のどこに対応させるかを決めておくと、職員は給与明細の項目ごとに「何に対して、いくら支払われているのか」がわかり、園としても根拠のある説明ができるでしょう。


処遇改善等加算の区分1・2・3でよくある質問
Q. 旧加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲと区分1・2・3は、どう対応していますか。
区分1が旧加算Ⅰの基礎分、区分2が旧加算Ⅰの賃金改善要件分と旧加算Ⅲ、区分3が旧加算Ⅱにあたります。就業規則等に旧名称が残っていても、内容に実質的な変更がなければ、読み替えて整備済みとして扱って差し支えないとされています。
Q. 区分2は園長(施設長)にも配分できますか。
できます。法人の役員を兼務している施設長でも、通常の教育・保育に従事する職員として、施設の給与規程に基づいて給与が支払われていれば対象になります。
Q. 区分3を賞与でまとめて支払ってもよいですか。
できません。区分3は、決まって毎月支払われる手当または基本給で改善することとされています。ただし、対象職員の想定外の休業や法定福利費の差額で生じた残額は、一時金で調整できます。
Q. 非常勤職員やパート職員も対象にできますか。
区分1・区分2は、非常勤職員を含め、通常の教育・保育に従事するすべての職員が対象です。区分3も、副主任保育士等や職務分野別リーダー等の要件を満たしていれば、非常勤職員を対象にすることは可能です。
Q. 区分2の加算見込額は、どう計算しますか。
通知の算式は「加算当年度の区分2の単価×(区分2の加算率×100)×見込平均利用子ども数×賃金改善実施期間の月数」です。利用子どもの認定区分・年齢区分・加算ごとに計算して合算します。
Q. キャリアパス要件を満たしていないと、区分2や区分3も受けられませんか。
認定は区分ごとに行われます。区分1の認定を受けていなくても、区分2の認定を受けるケースはあり得るとされています。なお、区分3の適用を受けている施設は、区分1のキャリアパス要件を満たすものとして扱われます。
まとめ|3つの区分を、自園の賃金制度の言葉で説明できるか
区分1は経験年数に応じた昇給、区分2は職員全体の賃金改善、区分3はリーダー層への追加的な改善です。加算額の求め方も、対象も、支給方法も違います。
- 区分1:平均経験年数で加算率が決まる。令和8年度からキャリアパス要件を満たしていないと認定を受けられない
- 区分2:支給範囲と賃金の項目は園が決める。同一の設置者が運営する他の特定教育・保育施設等にも充てられる
- 区分3:研修修了者の数が上限。毎月の手当か基本給で、リーダー層に支給する
- 区分2と区分3を合わせて、半分以上を毎月の賃金で改善する
加算率の認定や様式の扱いは自治体によって異なります。最終的には、施設所在地の自治体の要領を確認してください。
執筆:杉村基樹(株式会社ネクサス代表取締役)



