職員が自己評価のタイミングで『私たちってこういうところを大事にしているよね』という気づきを得られるようにしていきたい【学校法人白梅 認定こども園子どもの森 副園長・橋本駿先生にインタビュー】

ネクサスは福島県で3園の認定こども園を展開する学校法人白梅さんへ、キャリアパス設計・運用サポートのサービスをご提供しています。今回は、キャリアパス制度の実際の運用面についてお話を伺いました。
【実施・導入実績】
● キャリアパス設計(2015年)
● キャリアパス設計_再構築(2023年)
● 人材育成支援クラウドCAN-PATH(2020年〜)
2025.12.17
学校法人白梅のキャリアパス制度
次の改善テーマは「白梅らしさ」を評価項目に反映
ーーキャリアパスのお話の前に、法人内での現在の役割を教えてください。
法人で市内に3つの認定こども園を運営しており、そのうちの一つ「認定こども園子どもの森」で副園長をしています。認定こども園子どもの森は3園の中では基幹となる園ですが、私は現在は人事評価制度周りを含め、園長のサポートや園の制度に関わること、ICTの取りまとめなど幅広く担当しています。現場に入る頻度は多くないものの、園に常駐し、行事や訓練などでは指揮系統の中に入ることがあります。
ーー キャリアパス制度にはどのように関わっていらっしゃいますか。
設計自体には携わっておらず制度が見直されたタイミングで関わったので「導入して、細かい部分はやりながら決めていこう」という段階でした。制度は作って完成ではなく、運用しながら必要な修正を積み重ねていく必要があると感じています。私自身はその運用・調整フェーズでの関与が中心で、評価者としての実務と、制度そのものの見直しの両面に関わっています。
ーー 現在、法人内では制度をどのように運用されていますか。
キャリアパス制度を落とし込んだ人事評価を、年度単位で前期・後期で運用しています。
4月の段階で職員に目標を立ててもらい、夏頃に一度前期の自己評価をつけます。同様に1月頃に後期評価を行い、その後、理事長が確定評価を出します。確定評価まで出して集計し、そこで一連の運用が終了する形です。期間の感覚としては、4月からカウントして前期・後期を「だいたい5ヶ月・5ヶ月」くらいで区切っているイメージですね。
評価結果は判定が明確に出る仕組みになっており、年間を通した評価の流れが出来上がっています。
ーー 運用してみて、うまくいっている点を教えてください。
うまくいっている部分は、「ステージ(職員の段階区分)」が割り振られたことで、職員が自分の現在地と期待される役割を把握できるようになった点です。目標を立てる上でも、「こういう目標を立てれば、期待されている役割が十分か不十分か」を職員自身が判断しやすくなりました。以前は経験年数や、どの学年を持った経験があるかといった点からのやや曖昧な見立てになりがちでした。ステージが明確になったことで、経験年数だけではなく、職員自身がそれぞれの役割を客観的に捉え、自己評価につなげられる点が大きいと感じています。
ーー 一方で、課題として感じている点はありますか。
課題というか、今後の見直しで取り組みたいと感じているのは、評価項目をより「白梅の教育方針と親和させる」という点です。
評価項目は私たちが一から考えたのではなく、ネクサスさんのものを叩き台としてそこに私たちのオリジナル部分を追加しているので、保育施設として「一般的にこうあってほしい」という観点が入っていて、基本的にはそれで問題ないと思っています。ですが、もっと私たちの教育・保育を実現できるよう職員たちに意識してもらいたいので、定期的に行う自己評価や他者評価の場面で、園の色や想いをもう少し反映できるように、評価項目に法人のエッセンスを追加できたらよいと考えています。
キャリアパス制度導入のメリット
評価の見える化が、納得感につながった
ーー キャリアパス制度導入のメリットはどのようにお考えですか。
この制度は国からの通達である処遇改善等加算とも関わっていて、そこではステージに合った役割と責任を与え、適切な評価を行い、それに対して報酬を支払うという枠組みになっています。その”適切な評価”がブラックボックスだと、自治体に出しているものと、職員が実際に評価されていると感じるものにギャップが生まれやすいと思います。
そこに具体的な評価項目ができて、「あなたの最終評価はこのくらいです」と見える化されたことで、配分の根拠という点で、職員の納得感につながっています。今までは「どこを評価されているのか」「何を見られているのか」という不安感も職員にはあったと思うので、そういう見えなかったところがクリアになったという点で、評価の透明性は重要だと感じていますし、法人としても一貫性を持って管理しやすくなりました。
私たちは法人内に3園ありますが、同じ法人でも園ごとに風土の違いはありますし、以前は園長のさじ加減が評価に影響するという部分もありました。複数園を持つからこそ処遇の振り分けは法人として行う必要があり、法人内で一本化された明確な基準、背骨のようなものがあった方が良いので、その役割を制度が担えていることは導入のメリットだと感じています。
ーー 職員育成にはどのように影響していますか。
これまでは「あの人みたいになる」というモデルを目標にすることもありましたが、制度や環境、園の保育は変化していくものなので、働き方や大切にすることも時代に合わせて変わっていきます。そこに連動したキャリアパスがあることで、より言語化された目標設定がしやすくなると感じています。特に法人の今後を担う職員たちには自分の将来を見通しながら評価制度と向き合ってもらえると、法人としても助かります。だからこそ、ステージや評価の枠組みの中で、自分の頑張りや得意を整理し、次の成長につなげることが重要だと考えています。
また、評価者になった職員に対しても効果があると感じています。評価をするには、その先生をしっかり見なければならず、評価項目を理解していないと評価できません。法人として「必ずこのスケジュールで評価を行う」という土台ができたことで、年数を重ねてリーダーになっている職員たちに「人を育てる」という視点が芽生えてきた印象があります。制度があることで「後輩のどこを見なくちゃいけないか」「このような評価をされているからこの部分を指導しよう」という観点が身につきやすくなってきたと感じます。
人材育成支援クラウドCAN-PATHで制度を運用する
ーー 白梅さんでは、制度運用の際にネクサスが提供する人材育成支援クラウドCAN-PATHをご利用いただいています。オンライン研修と評価システムがありますが、それぞれどのように役立っているでしょうか。
評価システムについて
ーー まず評価システムの使い勝手はいかがでしょうか。
現時点で問題なく利用できていて、操作も簡単です。そして要望に応じた調整にも都度対応いただいています。最近で言うと、評価シートを職員が使いやすくなるように修正していただきました。具体的には、自己評価をする際、一つの評価項目に対してどう捉えて評価をつけるか、以前はキャリアパスの細かい解説が書かれた白梅ブックを手元に置かないと書きにくかったのですが、システムの入力欄の隣に「例えばこういうことです」といった説明を表示してもらったことで、システム内で自己評価が完結しやすくなりました。職員側も「こういう書き方をすればいい」「こういうことを書けばいい」が分かりながら自己評価ができます。自己評価の基準は人によって捉え方が違うことがあるため、具体例が表示されることで精度が上がってきた実感があります。
ーー 管理者側の視点ではいかがでしょうか。
評価が今どこまで進んでいるかが直感的に分かる点は、管理側として助かっています。フローが見えることで、滞留や抜け漏れの把握もしやすいです。一方で、最終的な確定評価の集計や分析については、評価が終わったタイミングでデータ抽出して分析をかける依頼をしています。ここがもう少しシステム内で完結できると、よりよいと感じています。運用全体が見えるようになってきたからこそ、集計・分析も含めて一貫して扱えると、次年度の改善にもつなげやすくなると思っています。
研修について
ーー CAN-PATHのオンライン研修はどのように活用されていますか。
オンライン研修については、私はそこまで関わっておらず、主任の先生に任せ各園で運用してもらっています。制度運用の中心が評価である一方で、研修は人材育成の場であるため、現場で適切に回せる体制を整えることが重要だと感じています。そういう意味では、現場で必要な研修を選んで受講できる形は職員の主体性を高めることにつながっています。
また、CAN-PATHではありませんがネクサスさんには園内研修でもお世話になっており、評価者研修や導入時の管理者向け研修が役立っています。新たに評価者になる先生は毎年出てきますし、新たに主任になる先生、学年リーダーになる先生もいます。また、今まで評価される側だった先生へのフォローアップも必要です。そうした研修のフォローがしっかり入っているので、導入が「全く何もわからない状態からのスタート」にならず、園としては助かっています。制度は運用する人が理解して初めて回るため、研修があることで評価者としての前提や観点を揃えやすいと感じています。
今後の展望について
ーー 今後このキャリアパス制度をどのように活用、発展させていきたいと考えていらっしゃいますか?
先ほどと被りますが、制度に白梅らしいエッセンスを加えていく、それによって職員が自己評価のタイミングで「私たちってこういうところを大事にしているよね」という気づきを得られるようにしていきたいですね。そして、制度と合わせて白梅の風土を自然と浸透させることができたら良いと思っています。
あとは、業界的に成果の見えにくい仕事なので、職員も自分をアピールすることが苦手だし、評価する側も評価が難しかったんですよね。それがこの制度を通して言語化されたことで「ここを頑張った」「ここを見てほしい」というのが職員もアピールしやすくなってきたと思っています。それができると、ステージを上がっていく時に未来の自分の姿が想像しやすくなると思っていて、職員にもっと自分の得意なことや頑張っていることをアピールしてもらって、それが評価者側にも伝わった上で、より成長していけるような人事や配置に繋げられると良いなと思っています。そうすれば職員は職員で自分の得意なことを発揮できるし挑戦したいことに挑戦できる、園としても成長につながる機会を提供して適材適所に配置できる、という形になっていけると思いますし、これまではヒアリングくらいでしか把握できなかったことがもう少しシステマティックに分析するような運用ができたら、長期的に見てより良いものになるかなと期待しています。
キャリアパス導入を考えている保育施設へ
頑張りがいのある職場として認識されるように
ーー 最後に、これからキャリアパス制度を導入したいと考えている園さんに対してメッセージをいただけますか。
私自身は、すでに制度がある状態から関わっているのでむしろ導入前はどうやって職員を評価していたのか疑問ではありますが、どの園にも制度は必要だと思います。制度というと堅いですが、園の方針や根拠となる考えを形にするというイメージですね。
そして制度導入のメリットは法人側にも職員側にもあることが大事だと思います。法人にしかメリットがないと、職員は「やらされる」「負担が増える」と受け止めてしまいかねません。私たちは評価を給与面とも紐付けていますが、以前は年功序列だったところを、制度を導入後は評価のウエイトを少し増やし、頑張れている、期待したものをこなせている点を正当に評価し、報酬として還元しています。もちろん、目に見えた実績数値で測ることが難しい部分はあるため、調整しながら運用していく前提ですが、評価制度によって納得性を高めて「頑張りがいのある職場」として認識される法人になることは、今後より重視されていくのではないかと思います。
ーー インタビューは以上です。貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。今後も法人に合った制度の見直しと運用をサポートさせていただきます。


